
クラスの子どもが問題行動ばかり起こしてどうしたらいいのかわからない

何度言っても直らないから怒ってばっかり
こんな人たちのための記事です。
今回は、子どもたちの問題行動がなぜ起こるのか、そしてどうアプローチしていけばいいのかについて解説します。
問題行動の主な原因は、認知の歪みです。
その認知の歪みを正しい認知に変え、行動を変容させていくのが今回紹介する、認知行動療法です!
教育関係者向けの記事になりますが、家庭での子育てにも役立つ考え方なので親の人たちも最後まで見てみてください!
この記事を書いている親育てはこんな人です。
- 現役教師+一児の親
- 教育カウンセリング講座20回以上受講
- 特別支援教育経験あり
- 教育・心理学関連の本を30冊以上読破

ではいきましょー!
認知行動療法とは

認知行動療法は、認知(考え方)がマイナス思考の人を、より現実的な認知に変え、行動も変えていく治療法です。
この認知行動療法の肝になるキーワードが3つあります。
- 認知(考え方)
- 感情(感じ方)
- 行動(何をするか)
例を挙げて説明します。
スーパーの抽選で1等が当たりました。
そのときどう考えますか?

やったー!ラッキー!

こんないいことがあるなら次は悪いことが起きるかもしれない
これが認知です。
ある出来事に対してどう考えるかが認知というわけですね!

なんか不安になってきたな
これが感情です。
歪んだ認知から負の感情が出てきました。

怖いからしばらくは家で黙っておこう
これが行動です。
もうわかりましたね。
この3つは切っても切れない関係で密接に関わり合っています。
認知→感情→行動の順番です。
つまり、子どもの問題行動というのは最後に現れているものであって、改善していくべき根っこの部分は最初の認知の部分なのです!!

じゃあ歪んだ認知ってどんなものがあるの?
歪んだ認知を理解する
歪んだ認知は全部で10個あります。
- 全か無かの法則
- 一般化のしすぎ
- 結論の飛躍
- 心のフィルター
- マイナス化思考
- 拡大解釈と過小評価
- 感情的決めつけ
- すべき思考
- レッテル貼り
- 個人化
1つずつ簡単に解説していきます。
全か無かの法則
物事を極端に捉えてします認知の仕方です。
0か100か、白か黒か、間を考えることができず、2択しかありません。
テストは100点じゃなきだめと考えるのは全か無かの法則に該当します。
一般化のしすぎ
なにか一つ嫌なことが起こるそれが必ず起きたり続いたりするように思ってしまいます。
サッカーでシュートを外した場合、
「次も必ずシュートを外す」と思い込むのは一般化のしすぎですね。
結論の飛躍
証拠も何もないのに、自分にとって嫌な未来を想像してしまう認知の仕方です。
例えば、新しいことに挑戦する前に「うまくいくはずがない」と決めつけてしまうことです。
心のフィルター
ちょっと嫌なことがあるとそればかり気になって、他の良い出来事が全く頭に入ってこない認知です。
算数が分からないだけで、学校での楽しい出来事を考えることができず、学校そのものが嫌いになってしまいます。
また、人にも心のフィルターはかかります。
少し口調が悪い友達のことは、そのことばかりが気になり、優しい一面や掃除が丁寧などの良さが見えなくなってしまいます。
マイナス化思考
良いことを悪いことにしてしまったり良いことがあっても無視してしまったりする認知の仕方です。
友達に遊ぼうと誘われた経験があるのにもかかわらず、「一度も誘われたことがない」と、言ってしまいます。
これは、良いことへの関心が薄く、記憶に残りづらくなっているためです。
拡大解釈と過小評価
失敗は大きく考えてしまい、良いことは小さく見積もってしまう認知の仕方です。
みんな掛け算を覚えられていないのに、自分だけができていないように考えてしまいます。
みんな同じレベルなのに、誰かが掛け算をできたときは自分を下に見てしまいます。
感情的決めつけ
自分の感情を根拠にしてしまう認知の仕方です。
「英語が苦手だから絶対に上手になるわけがない」と決めてつけてしまいます。
自分の気持ちが理由になっているので、周囲の声が入ってきません。
すべき思考
物事を「〜すべき」「〜すべきじゃない」と考えることです。
授業は静かにすべきと考えている子は、話し合いで盛り上がっている授業でも、静かにすべきだと極端な考えになり、周りと噛み合わなくなります。
レッテル貼り
なにか失敗したときに「僕は何をやってもダメな人間なんだ」とレッテルを貼ってしまう認知の仕方です。
レッテルを貼ってそういう人間だと思い込んでしまう厄介な考え方です。
個人化
うまくいかないことを個人のせいにしてしまうことを個人化と言います。
「試合に負けたのはあいつが下手くそだから」
「お父さんとお母さんがけんかしたのは僕が良い子じゃないからだ」
このように考えてしまいます。
子どもの感情に働きかける

認知の歪みについて理解できたでしょうか。
教師が子どもの歪んだ認知を理解できたら次のステップへ進みます。
続いては苦しんでいる本人に、原因が先ほど紹介した認知の歪みのせいだということを気づいてもらいます。
そして、その認知からくる身体症状についても理解してもらいます。

働きかけ方も何種類かありますので、ご紹介していきます。
実践で使えるようにしっかり覚えていきましょう!!
- 自分の感情に気づいてもらう
- 感情に名前をつける
- 思い込みだと気づかせる
- パターンを知って先手を打つ
- 感情と向き合う
自分の感情に気づいてもらう
歪んだ認知のせいで自分が今どんな気分になっているのかを言語化して理解していきます。
感情といっても怒りや悲しみ、不安、緊張などいろいろな気持ちが複雑に混ざり合っています。
それを丁寧に聞いていきながら言語化して気づいてもらいます。

思わず友達を叩いちゃったときってどんな気分だったの?

うん、なんかムカムカして頭が真っ白になった

そうか、腹が立ったり怒りがこみ上げてきたり話を聞いてくれなくて悲しい気分って感じかな?

うん、そんな感じだよ
複雑な気持ちも言語化することで、理解できるようになります。
自分の感情に名前をつける
自分の感情を理解できたら名前をつけてあげましょう!
友達を叩いてしまう「叩き虫」
泣いてやる気がなくなる「妖怪エンエン」
けっしてふざけているわけではありません(笑)
いっけんふざけているように思えますが、実はこのように問題に名前をつけて自分と切り離すことを外在化と言って、メリットがあるんです!
- より自分の感情を理解できる
- 名前をつけることで客観視することができる
- ユニークな名前をつけることで気楽に向き合える
- 自分のせいじゃないと思えて気が楽になる
このようにたくさんのメリットがあるので、ぜひ遊び心満載でやってみてください!
思い込みだと気づかせる
歪んだ認知には根拠がありません。
そのことを会話の中で気づいてもらいます。

クラスのみんながいつも僕のことを馬鹿にしてくるんだ。

そうなんだ、みんなが馬鹿にしてくるんだね。
さっきA君と遊んでいたけど、A君も馬鹿にしてくるの?

いや、A君はしてこないよ

みんなではないんだね。
今日は誰かに馬鹿にされたの?

今日はされてないかな

そっか、じゃあ毎日ってわけでもないんだね
このように極端な認知を直していきます。
自分の認知と現実のズレを理解することができます。
パターンを知って先手を打つ
だいたい感情が爆発する時ってパターンが決まってます。
例えば、自分の意見が通らなかったり、苦手な算数のテストの時だったりと。
子どもとの会話の中でそのパターンを見つけます。
- 感情をイメージする
- どんなときにその感情が出るのか
こうすることで、その場面を作らないようにもできるし、そうなった場合はどうするのか具体的な対策をとることができます。
詳しい内容については、次の行動へのはたらきかけで解説します。
感情と向き合う
感情が爆発してしまったらなるべく間をおかずにそのときのことをふりかえりましょう。
そうしてどんなときに爆発したのか、そのときの気持ちはどうだったのかを確認することで、これからどうしていくのか、改善するにはどうしたらいいのかを考えることができます。
解決に向けて話し合うことができます。
解決志向的な考えですね。
これは以前の記事で紹介していますので、詳しくはそちらも見てみてください!
子どもの行動にはたらきかける
最後はいよいよ行動へはたらきかけていきます!

さあ、いよいよ行動を変容させるために必要なことを解説していきます!
- 事前に解決策を決めておく
- 選択肢を与え、自分で決める
- 練習してみる
- フィードバックをする
- 友達に協力してもらう
事前に解決策を決めておく
問題行動が起きる前に、どうするか決めておきます。
そうすることで、見通しをもつことができます。
そして、具体的に何をするのか決まっていると子どもも取り組みやすいです!
選択肢を与えて、自分で決める
自分で解決策を立てられるのがベストです。
でも、そのときになにをしたらいいのか分からない子どももいるかもしれません。
そのときは望ましい行動をいくつか用意して決めてもらいましょう。
自分で選ぶことで、成功したときに得られる喜びや満足感が増えます!
そして、自分でできたことが自信につながっていきます!
自己決定をすることで、自己肯定感が高まるのも期待できますね!
練習してみる
決まったら早速練習してみましょう。
もしもの場面を想定してロールプレイすることで、より見通しが立ちます。
教師が友達役を演じてみるといいでしょう。
フィードバックする
うまくいったときこそふりかえりをしましょう!
「なんでできたの?」「どんな気持ち?」と聞いていきながら子ども自身が自分を客観視することができます。
次の成功への足掛かりともなるでしょう。
友達に協力してもらう
一人ではなかなか厳しいならクラスの友達の手をかりましょう。
一緒に取り組んでもらったり協力して何かをしたりする機会を意図的に設けてみるといいかもしれません。
また、先生に褒められるよりも友達に褒められた方がより効果が高いです!
- 認知行動療法は、認知を正しいものに修正し、行動を変えていく治療法
- 教師は歪んだ認知を理解する
- 子どもに感情を理解してもらう
- 行動にはたらきかけて直していく
どこのクラスにも一人は問題行動で悩んでいる子どもがいると思います。
悩んでいる教師も多いでしょう。
そんな人のたちの少しでも参考になったら嬉しいです!
ではまたっ!
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